恋と愛は 違うね 罪と罰2




事故の時に交通渋滞で 動かない車列のなかに N課長を乗せた店長の車が駆けつけようとしていた。

N課長は救急車のサイレンも近いから万が一の事を考え 車から降りて現場まで叫びながら走っていた。

マツコから聞かされた悪夢の日の出来事だった。

事故現場付近には 同じ会社の人がその姿を何人も目撃していたそうだ。

N課長と私の噂話は もう誰にも止めることはできないくらいだったそうだ。

 

私は怪我をしていたので 仕事にもいけない状態だった。

休んでいる間に 引っ越しも重なり 心身ボロボロ

何より離婚して引っ越しも済んだのに N課長に自由に会えるはずが 全然連絡もない。

どうして自由になったのに 会いにも来てくれないのか 寂しさと不安に押し潰されそうになっていった。

声だけでも聞きたい 本当は会いたい

こんな気持ちは 彼にはないのだろうか?

もしかして このまま終わりなのかな~


よく考えてみれば 一番不安なのは 小学生の一人娘のはず

何をやっても上手くいかない

仕事も休んでいたので 金銭的にも かなり厳しい状況になっていた

世の中で 娘と私 取り残されたような日々

勤務先に連絡をして 仕事に復帰したいと伝えた。

N課長が 電話に出て まだ無理をしない方がいい 止められた。

もう自分はどうなってもいいから 娘だけは幸せになってもらいたい

店長に復帰のお願いをした。 

厳しい言葉しか告げられなかったが 誰のせいでもない。


職場に無事 復帰でき 居心地は悪いが 生活のため時間に追われるだけが救いだった。

N課長のいる事務所には 用事を貯めて 顔を合わせることを最小限にしていた。


休憩時間もマツコとだけの ひそひそ話

心配してくれているのは マツコだけだった。

 N課長も つまらなそうに仕事してるよ、このままで終わるの?

そんなこと 誰にもわかるわけない。


数日後 N課長から 私の家でクリスマスパーティーをマツコも呼んで楽しくしよう 

当日 買い物や食事の支度にと てんてこ舞

でも 楽しかった。

久しぶりに N課長とマツコの酒癖悪い 面倒さも心底娘と笑った。

何度となくN課長が 私の家に仕事帰りに立ち寄ってくれた。

嬉しいはずなのに なにか満たされない。

慣れっこに なってしまっていた。

彼が必ず 傍にいることが私の中で 当たり前だった。